皆さんは「フィンテック」や「インシュアテック」という言葉を聞いたことはありますか?
最近、新聞やインターネット上の記事などで取り上げられることが多くなってきました。これらは、フィナンシャル(金融)+テクノロジー(技術)、インシュアランス(保険)+テクノロジー(技術)、それぞれを足してできた造語です。
身の回りの生活を見ても、ネット銀行のみならず、従来のメガ銀行や地銀などもインターネットサービスを導入し、スマホなどのデバイスを使って送金の手続を行ったり、口座残高を照会したりするのが当たり前になってきましたね。また、家計簿をスマホで記帳したり、預貯金や住宅ローンなどを記録して、自分の資産状況をグラフ化してくれたり、気軽に確認できるサービスもあります。これらのサービスは、ITを駆使して、資産運用の把握、ライフプランの提案、適切な金融商品情報の提供などを行い、消費者の生活を一層良くしようとするソリューションのひとつと捉えられています。“ITの力でお金の悩みを解消する”といったところでしょうか。
インシュアテックはフィンテックよりも遅れて登場した言葉です。インシュアテックによるソリューションの一例は、「保険料の適正な算出」が挙げられます。自動車保険は、数ある保険商品の中で花形商品と言われており、業界でも大きな売上シェアを占めています。しかしよく言われる「若者の車離れ」などの影響で、加入数は年々減少傾向にあるようです。解決のために、加入者に一層マッチした保険を展開することが保険会社の至上命題でありますが、保険料の算出のために重要な要素である自動車の運転技術って運転者によってマチマチですよね。それを年齢、免許証の種類などの一定の枠組みで括って算出するというのは、完全な公平ではない、という意見もあります。その解決に一役買うのがインシュアテックで、車にセンサーを搭載して、急ブレーキ、急加速、走行速度などから運転者の運転技術を数値化し保険料を算出する、というものです。当然、運転技術が高い被保険者ほど保険料は安くなります。
また、遺伝子解析技術の向上により、先天的に罹患しやすい疾患がある程度分かるとも言われています。これを利用して生命保険料を算出するといった手法も検討されているようですが、ここまで進むと、生まれながらにして保険料が決まってくる、または保険自体に加入できない、といった類の差別が生まれてしまうかもしれません。
これらの動きは、ソリューションという側面も当然にありますが、これまで記録として残らなかったお財布の出し入れ状況や体に流れている血液までを数字化、記録し、ビジネス活動に利用することになるので、行き過ぎると消費者のプライバシーの権利を侵害してしまうかもしれません。
ソリューションとプライバシー保護とのバランス感覚が事業者には求められます。